くびのはれ・しこり
くびのはれ・しこり
われわれは”耳鼻咽喉科”あるいは単に”耳鼻科”と言われますが、実は”耳鼻咽喉科・頭頸部外科”というのが正式名称です。
こんな臓器も診療対象です。
くび(頸部)にもリンパ管とよばれるリンパ液が流れる管が通っており、リンパ節というのはその”ふし(節)”にあたる免疫器官です。リンパ節が腫れていると考えられる場合は、悪性の除外だけでなく他の疾患と確実に見分けて正確な診断に結びつけるためにも、「エコー検査」の施行が望ましいです。
その名の通り、耳の周囲と顎の周囲に存在する唾液を作る臓器で、稀にできもの(腫瘍)ができたり、炎症が起きたりします。この場合も「エコー検査」が有用で、臓器の中の様子をリアルタイムに観察し、正しい診断と治療に結びつけます。
のどぼとけのすぐ下にあり、甲状腺ホルモンを合成・分泌する臓器です。甲状腺の中に”できもの”ができている場合は、正確に「エコー(超音波)検査」で評価し、様子をみていってよい良性のものなのか、手術を考慮する悪性(がん)のものなのか、判断することが重要です。
※マンパワーの問題から、当院では採血や投薬調整を要する甲状腺の内科的疾患(慢性甲状腺炎(橋本病)やバセドウ病)のフォローは行っておりません。予めご了承ください。
院長は「耳鼻咽喉科・頭頸部外科医」として、一貫して甲状腺をはじめとした頸部の超音波検査に取り組み、その後の診断から治療の流れも熟知しております。安心してご相談ください。
くびのリンパ節が腫れるのは様々な理由があり、大きく分けて①感染性、②非感染性、③悪性疾患 が考えられます。
①の場合が圧倒的に多く、細菌やウイルス、その他特殊な感染に由来する場合もあります。
②は自己免疫疾患や、悪性ではないもののリンパ節が増殖・増大したりする疾患が挙げられます。
③の場合は総合病院への受診が必要ですので、直ちにご紹介させていただきます。
のどの炎症に伴って一時的にくびのリンパ節が腫れているだけのことが多いのは事実ですが、そのパターンから外れる場合は一度、詳しく検査するのが望ましいといえます。
耳下腺と顎下腺はともに唾液を分泌する代表的な臓器で、「大唾液腺」と呼ばれます。
唾液を分泌する管が腺内を走行し、口の中に開口しています。
ヒトを含め動物の口の中は雑菌だらけですので、時にその影響で管から逆行性に臓器に感染し、炎症を引き起こすことがあります。
また、管の中に石ができて詰まってしまうことがあり(唾石症)、ほとんどが顎下腺に生じます。(顎下腺に多い理由は、管が長いことや、唾液の性状がやや粘っこいことなどが理由と考えられています)
唾石症がきっかけとなって、炎症がひどくなったり、稀に細菌感染から膿が溜まってしまったりすることもあります。
石が原因でなければまずはお薬の治療を試みますが、治療には数週間かかることもあります。石が原因の場合には、摘出することが考慮されます。
ほとんどが良性のできもの(腫瘍)です。
その90%は多形腺腫とワルチン腫瘍です。顎下腺にワルチン腫瘍はみられません。
良性腫瘍ですが治療は手術となり、特に多形腺腫の場合は手術が推奨されます。理由は徐々に増大することと、悪性化(がん化)の危険があるからです。
手術の時期も早い方がよく、その理由としては、できるだけ小さいうちに手術をした方が術後の合併症(顔面神経麻痺など)のリスクが少なくなることが挙げられます。
悪性腫瘍の場合は、腫瘍の部位に痛みがあったり、顔面神経麻痺を認めることがあります。
当院では診断確定の検査まではできませんので、疑われる場合はすぐに関連の総合病院にご紹介いたします。
甲状腺の一部が増殖・増大した病変ですが、腫瘍ではありません。単発の場合は「腺腫様結節」、多発している場合は「腺腫様甲状腺腫」と呼ばれます。がんとの鑑別診断が大切で、そのためにエコー検査が重要となります。良性ですが、がんとの区別が難しい場合や、あまりに大きくなると見た目の問題も出てくることから、手術の適応となる方もいます。定期的なエコー検査で状態をチェックしておくことが大切です。
甲状腺の中に液性成分を含む”袋”のようなものが存在する場合、これを「のう胞」といいます。一般的に心配いりませんが、”袋”の中に液性成分以外の「充実性部分」を含む場合は悪性のこともあるので注意が必要です。
乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん、に分類されます。ほとんど(9割)が乳頭がんです。
代表的な乳頭がんについて解説します。
甲状腺がんの約90%を占めるがんです。がんですが、ゆっくり増大するものが多く、1cm以下のごく小さなものでは経過観察でよいと言われているほどです。しかし、周囲にリンパ節転移があったり、気管に浸潤していることが疑われる場合や、声を出す神経(反回神経)に浸潤が疑われる場合などは、小さくても手術が行われます。早期発見ができれば確実に治療できることが多いです。自覚症状がないことが多く、診断の第一歩はエコー検査を受けることです。甲状腺がんの診断、除外にはエコー検査は欠かせません(同時に首のリンパ節などもチェックします)。治療としてはがんの状態にもよりますが、腫瘍がある側の甲状腺を半分切除する手術を行うことが多いです。
上記以外にも、様々なできものが首の部分にはできます。
生まれたときから存在していて徐々に大きくなってきたり、突然自覚することもあり得ます。
気になる場合はぜひ一度当院にご相談ください。