
お子さんの耳鼻科疾患
お子さんの耳鼻科疾患
かぜは正式には「かぜ症候群」といって、鼻水、のどの痛み、咳を主症状とする上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。発熱、頭痛、関節痛、全身倦怠感、食欲低下などを伴う場合もあります。
原因微生物の80~90%はウイルスが占めており、粘膜から感染して炎症を起こします。ちょっとしたかぜは自然に治ることも多いですが、中にはインフルエンザやコロナウイルスも含まれ、こじれてしまうと気管・気管支炎、急性副鼻腔炎、急性中耳炎、滲出性中耳炎などの合併症を引き起こします。
合併症自体も耳、鼻、のどに関するものが多く、「かぜ」は耳鼻咽喉科の専門領域といえます。
当院ではできるだけ内視鏡等を用いながら、患者さんも見てわかっていただけるようなわかりやすい説明を意識しつつ、合併症の有無を的確に把握し、お薬だけではなく、必要に応じて症状を和らげる処置(鼻汁吸引や超音波ネブライザーなど)を行っております。かぜ症状のご相談はぜひ耳鼻咽喉科にお任せください。
中耳炎は鼓膜の奥の中耳で炎症を起こす病気で、一般的に中耳炎と言われているのが急性中耳炎です。鼻の細菌やウイルスが、鼻の奥から中耳につながる耳管(じかん)を通って中耳に入ることで起こります。
比較的、子どもに多くみられますが、大人でもかかることもあります。成長途中の子どもは耳管が未発達で、十分な長さがなく、また角度も水平に近いため、菌などが侵入しやすいと考えられています。このため子どもは、かぜをひいたときにとくに中耳炎にかかりやすいといわれています。
症状としては、鼻水やのどの痛みなどの症状に続いて、強い耳の痛みや発熱、耳だれ、耳がつまった感じ、聞こえにくさなどが生じます。うまく痛みを伝えられない乳児は、機嫌が悪くなってぐずったり、頻繁に耳に手を当てたりするなどの仕草がみられます。急性中耳炎は治りきらず慢性化してしまうと、将来的に難聴の後遺症を残す可能性もありますので、耳鼻咽喉科でしっかりと治療しましょう。
滲出性中耳炎とは、鼻やのどの炎症(上気道炎)で増加した分泌物(浸出液)が、鼓膜の奥の中耳にたまってしまい、排出が上手くいっていない状態のことをいいます。
この状態が続くと、鼓膜が正しく振動できないため難聴の状態となります。さらにこの状態のまま放置し悪化してしまうと、癒着性中耳炎といって、鼓膜が中耳の奥にひっこんでしまい奥の壁と癒着し、難聴が治らない状態になったり、できもの(真珠腫)の発生につながるおそれもあります。お子さんの場合は特に将来への影響などが心配ですので、早めの相談をお勧めします。
副鼻腔に細菌が感染する病気です。かぜをひいた後(ウイルス感染後)に生じることがあります。膿のような鼻汁が出て、限られた空間に膿がたまるため、頬や目の奥が痛みます。頭痛、頭重感、発熱などを伴うこともあります。
小児は大人に比べて副鼻腔炎になりやすい傾向があります。速やかに薬物治療を開始することで、慢性副鼻腔炎に移行しないケースがほとんどです。
アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することで、鼻の粘膜で免疫反応がおこり、鼻づまり、水様性鼻汁、くしゃみを引き起こすのがアレルギー性鼻炎です。花粉などによる時期的なもの(季節性)と、家の埃やダニの糞・死骸などによる年中のもの(通年性)に大きく分けられます。
ペットのフケやカビなども原因となります。生活の質(QOL)を大きく下げるため、早めの対処が重要です。アレルゲンを避けることの他に、適切な投薬治療が有効です。お子様の時期から発症する方が増えています。
当院ではアレルギー検査に加え、アレルギー性鼻炎の根治的治療である舌下免疫療法も行っていますので、いずれもご興味のある方はお気軽にお声がけください。
主な原因はアデノイドや扁桃腺の肥大です。アレルギー性鼻炎による鼻づまり(代償性の口呼吸)も影響します。
気流障害による大きないびきに加え、血液中の酸素量が不足し、睡眠の質が低下します。一生懸命酸素を取り込もうとする結果、陥没呼吸がみられたり、頻回な寝返りをうつ子もいます。
放置しておくと、成長障害、顎顔面発育の不良、発達障害、学習障害、などがみられることがあります。治療として扁桃腺とアデノイドを切除する場合がありますが、まずは点鼻薬やお薬での鼻炎治療も効果的です。